クリスマスにはアガサを!

クリスマスプティングの冒険

クリスマス度      ★★★★★
ユニークなお話度    ★★★★★
ポアロの魅力満載度   ★★★★★
無人島に持って行きたい度★★★★★

『クリスマスにはアガサクリスティー』を!

これは人気作家のアガサの当時のキャッチコピーです。
寒い冬、クリスマスも近い雪も降り積もるようなそんな日にぬくぬくした部屋でゆっくり推理小説を読む、、、読書家にはたまらない情景です!

クリスマスらしい題名の本として『ポアロのクリスマス』という長編作品もあるのですが

今回は短編集のアガサの推理小説『クリスマスプティングの冒険』がありますので紹介しましょう。
これは短編集で、巻頭を飾るのがこの題名の短編となります。
東洋のエキゾチック的なそんな香りが漂う中で、しかもクリスマスという時期にポアロに事件の依頼がくるのです。
どのような依頼かは、ここでは言いませんが、ポアロはお金のためには働かない、自分がしたいと思う事件のみ引き受けるというところがあるのですが、そんなポアロにあの手この手で引き受けさせようとする依頼者との攻防も面白いのです。
よりによって独身を自由に謳歌しているポアロに”家庭的なクリスマスを過ごしてもらうことも可能ですよ~っ”てアピールするのですが、よりによってあのポアロにですよ?!
それがはたしてポアロにとって良い作戦かどうか、、、想像つきますよね?

この作品の特徴は、イギリスの良き時代のクリスマスをアガサクリスティーがとても愛してたことが分かる作品です。
特別なクリスマスのご馳走、伝統的なクリスマスへの反発の若者達、その若者への慈愛、変わらない恋愛模様、推理だけでない楽しみがそこにあります。
特に表題になっている”クリスマスプティング”は事件の重要なアイテムでもありますが本当に美味しそうに書かれているので食べて見たいなあって思います
ポアロの推理はもちろん素晴らしいのですけど、クリスマスらしい結末になるところもいいですね


クリスマスプティングの冒険』は
短編集ですので同時に掲載のその他の作品は以下の作品になります
スペイン櫃の秘密
負け犬
二十四羽の黒つぐみ

グリーンショウ氏の阿房宮

いくつかの短編集の中にも収録済みの話もありますので重複しています
不思議なことに
最後の『グリーンショウ氏の阿房宮』だけはミスマープルのお話です

スペイン櫃の秘密
バクダッドの大櫃の謎』と大筋は同じですが、ポアロの秘書ミスレモンが出てくるのが違います。
ファアムファタル、男を破滅させる女が出てきます。週刊誌ネタ的もあり、血なまぐさくもあります。
お話の筋は同じですが私は、『バクダッドの大櫃の謎』よりこっちの方がお話の流れは好きですね!

負け犬
なかなかきわどい作品です。
というのは、ポアロが奇術を利用するからなんです。推理は、完璧ですよ。でも解決の仕方が、、、いまいち。
ポアロ好きな方でも好き嫌い分かれる作品ではないでしょうか

二十四羽の黒つぐみ
ポアロが実はグルメだと分かる作品です。
黒つぐみというのはブラックベリー、黒いちごのパイに使う名称のようです。
日本で言うなら「桑の実」のようなものでしょうか。
おいしそうな料理が出てきますよ!推理は、人間心理に乗っ取って納得の仕上がりです。


このトリックは前代未聞!思いもつかない方法で殺人が行われるしアリバイも驚きです。そんなにうまくいくかな?って思う事もひっくるめて、驚く作品だと思います

グリーンショウ氏の阿房宮
この作品も、他の短編集で似たお話が収録されています。(大筋は同じだと思いますが、雰囲気が違います)
この短編集において、唯一ミスマープルの作品です。
奇っ怪な、、、いえ、個性的な!お金持ちが建てた家が出てきます。それがどんなモノかは想像するしかないのですから
これを映像化するとなると、むずかしいでしょうね。(記憶が確かなら像化も1回してたは思いますが)
マープルおばあちゃんのおしゃべりは、いつも関係ないようでいて、最後に帳尻が合う小気味よさを楽しんで欲しいと思います。