ねじれた家

アガサの筆が走ってる度 ★★★★★
後味のビター度     ★★★☆☆
最後まで犯人分からない度★★★★★
無人島に持っていきたい度★★☆☆☆

この作品はポアロなどの有名な探偵は出てきません。ですが、アガサ本人が乗りに乗って書いてたいへんなお気に入りでした。(と言われています)映画化にもなりました。かなり、人間の心理描写も細かいし登場人物が魅力的(登場人物全員が好ましい人物なわけではないですけど)に書かれていて素晴らしいです。人物の性格の書き分けが素晴らしいです。微妙な表現力、描写が、飽きさせません。一体この家の何が一番ねじれているのか?最後まで分かりません。

ネタバレなしの紹介
この作品の主人公は、探偵ではありませんが、語り部としても役割がありますし、とても魅力的です。アガサの表現の仕方が絶妙なのです。主人公はお金持ちであるアリスタイドの孫娘に恋をして婚約するのですが、そのアリスタイドというのが一癖も二癖もあり一族を敷地内に住まわせ、権力をふるっている状態。すでにねじれてるというかひねくれてる設定ではありますね。アガサはそんな風変わりなお金持ちが一族を支配しているというのを題材に作品を書くことがありますが、この作品もその一つと言えます。アリスタイドの孫娘は”私はそんなねじれた家の人間なのだ”と主人公に言います。この物語はアリスタイドが毒殺され、いったい誰が?という犯人探しになりますが、殺したいと思っている親族がいないとは言えない状況で誰もが犯人らしく思えるのです。物語にまとわりつく、ねちっこい人間模様が不気味で何とも言えません。

この話が、自分は好きかと言われると、難しいです。結末も含め完全に好みの問題です。でも良く出来たお話です。実際自分は、一気にこの作品を読み切りました。ミステリーというよりは、ホラーに近いかもしれません。不気味な雰囲気がまとわりついていて、そういう描き方もアガサは得意だと思います。後半に向けて、アガサのペンが走っているのが分かります。言い方が難しいけど、この不気味な話を、アガサは多分笑顔で書いています。読者に楽しんでほしいと書いてるのが分かります。そんな作品です。最後はやはり、読者はとんでもなく迷宮に入り込み、裏切られ、してやられた!と思わされるのです。(結局、翻弄されて楽しんでいる自分がやっぱりいます)
自分の好みかどうか別にして文句なく傑作の1つと言えます。(複雑な言い方ですが本心です)

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 20220324_070706-695x1024.jpg


※フジテレビドラマで”元彼の遺言状”綾瀬はるかさん、大泉洋さんでされてますがドラマの中に『ねじれた家』出てきますね!(原作は読んだんだけど、え?出たっけ?って感じです。そんなに本筋に直接は関係ないような、、、そもそもドラマの篠田役の大泉さんも随分原作と変えてますからね、、、)