杉の柩

愛憎の表現のロマンチック度 ★★★★★
最後のどんでん返し驚き度  ★★★★★
ポアロの冴えわたり度    ★★★★★
無人島に持っていきたい度  ★★★★★


個人的に大好きな作品です!
この作品は主人公はポアロでなければ解けない謎ではないかと思われるくらい、依頼人にとって最初から不利な事件なのです。
小説の最初から、エノリアの有罪が漂っています。被告人エノリアは、お金もあり洗練されている聡明な美女です。そこはまず大事なコトになりますね。彼女には幼い時から決められたロディーという婚約者がいるのですが、実はエノリアはこのロディーをめちゃくちゃに愛しているのです。しかし、いよいよそのロディーと結婚間際という時にメアリーという若い女が現れに奪われてしまいそうになるのです。メアリー・ゲラードは使用人の娘なのだが、特別に雇い主によって教育もバッチリ受けて性格も可愛く、容姿もカワイイ。そのメアリーに、愛しい婚約者のロディーが心奪われてしまう、もしかしたら財産も奪われかねないピンチな自体です。エノリアは表面的に冷静さを装いますが心の中は激しい嫉妬がうずまきます。まさにそんな時にメアリーが殺されるのです。エノリアには動機もある、機会もある、そして、なにより被害者を殺したいと思う感情が渦巻いたことを読者にも明確に匂わせているので、エノリアは犯人として裁判にかけられていても仕方がないのです。しかし、そこに、エノリアに恋する男、ピーター・ロード医師が登場します!(ちなみにエノリアは何とも思ってません、何ということでしょう!)ピーター・ロード医師が片思いのエノリアのために有名なポアロに無罪を証明してほしいと依頼することで、推理小説となっていくのです。

まさに、愛の三角関係物語!しかし、ここからがすばらしいミステリーの幕が開きます。
最後の謎解きが裁判形式なのも、珍しいです。アガサの看護師時代の知識も出てきます。
ちょっと最後にバタバタとご都合主義の感じもありますけど、それを吹き飛ばすぐらいの説得力はあります(多分)
自分が感銘を受けたのは、アガサの愛に関するうんちくの言葉やセリフの数々。いろいろあったアガサですから説得力がありますね!
ポアロは一生独身ですが、アガサが書く主人公だからでしょうか?愛に関して決して無知ではありません。(と思われます)
最後の最後にポアロが放つ言葉が、実にかっこよく自分は大好きなのです。
読んで損はありません!