そして誰もいなくなった

これはアガサクリスティーの代表作の一つと言っていいですね。謎を解くというよりは、最後のどんでん返しに読者は驚き魅力にハマるのです。この作品が発表されてから、何度これと似たような作品が発表され、オマージュされてきたことでしょうか。
この小説は映画化もされてますし、結末も有名なのでいまさら隠す必要もないかもしれません。でも、これから読む人はいくらでもいる(かもしれない)、ということを踏まえてあえてここではネタバレはしません。
ネタバレなしの紹介
この作品は、無人島に招待された10人の男女がインディアンの子守唄になぞらえて死んでいく。可愛らしいはずの人形がまた不気味で、その人形が消えると誰かが同時に消える。誰が?何のために?
無人島という、隔離された世界なので他に助けも呼べばない状態。10人の他に犯人がいるのか?誰も信じられない恐怖で追い詰められていく。ラストは、読者を驚かす仕掛けとなっている。
自分はこれを読んだとき、あんまりな話だなと思ったのです。いえ、文句なしに面白かったですよ!アガサクリスティーはさすがだ!と思いましたし天才だと思いましたし。最高傑作と言われてる理由も分かります。でも、内容的になんだかむなしいなあ、、、、って思いがしたのです。完全なる自分の趣味です。無人島に男女10人滞在できるほどの屋敷は(たぶん大きな立派な館)あるんですが、バカンス!っいう感じはまったくなく、ちっとも楽しそうじゃないし(あたりまえっちゃ当たり前か、仲良し10人組のパーティーじゃないんです、ほぼ他人同士)それぞれが秘密を抱えてるからそれが前提で、どよ~~~んとした灰色な雰囲気が漂うんです。それがミステリーだといわれたらそうなんで、全く文句はありません。でも、なんていうかホラー、そう、ミステリーというよりこの作品は自分にとってはホラーでした!最後まで犯人は分からないまま、読者を引っ張ってくれる力強い文章力が魅力です。そして題名が『そして誰もいなくなった』なんてちょっとしゃれてる題名というのも、ひっくるめてこの作品の価値があると思ってます。
蛇足ですが、作家の赤川次郎さんが、このアガサクリスティーの『そして誰もいなくなった』をリスペクトしていて、
”自分はこういう作品を書きたい”とそう思って書いてきたと知った時、驚いた自分です。
ユーモアミステリーのイメージがある作家の赤川次郎さんですが、『夜』という作品を読んだときホラーだったので、それを思い出しました。